
香港で働く敏腕証券アナリストのウェイは、1997年のアジア金融危機による株価暴落の影響で職を失い、恋人にも去られ、人生のどん底に突き落とされる。誇りも希望も失い、街をさまよう彼は、ある日「金持ちに拾われてほしい」というメモを添えられて捨てられた赤ん坊を発見する。一度はその場を立ち去るものの、激しい雨が降り出し、赤ん坊のことが頭から離れなくなったウェイは、思わず引き返してその小さな命を抱き上げる。こうして始まった奇妙な共同生活の中で、ウェイは不器用ながらも父親として赤ん坊に向き合い、次第に失いかけていた優しさや責任感を取り戻していく。経済的困窮や周囲の偏見など数々の困難に直面しながらも、赤ん坊の無垢な笑顔は彼の凍てついた心を溶かし、生きる意味を再び見いださせる。やがてウェイは、本当の幸せとは富や成功ではなく、誰かを想い、共に生きる時間そのものにあることに気づいていく。逆境の中で芽生える無償の愛と人間の再生を描いた、温かな感動作である。
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