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学校の怪談4の中庭のネタバレレビュー・内容・結末

学校の怪談4(1999年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

3作目を除き、最も重要な所作は「振り返り」にある気がする。後ろをついてくる少年たちに早く行くよ、と言いたげに振り向く少女の幽霊と、彼女に恋をする少年。得体の知れない何かの気配に振り向く者、吃音の少年が吹くホイッスルに反応してゆっくりと振り返る女校長。首だけを捻ってカメラに半分ほど顔を向ける彼らの身振りが、一見感情を露わにしていないように見える分、とにかく雄弁なのだ。岡本綾の可憐さと儚さ、前田亜季の大人びた顔つきと相反する可愛らしさ、豊田眞唯のあどけなさと芯の強さが同居するキャラクターの演出がとても良いが、シリーズを通して俳優が立ち上がった瞬間を強く目の当たりにしたと感じられたのは『学校の怪談』で脱出した後の校舎を見上げて唇を噛み締める将太を演じる塚田純一郎。涙を堪え難い。
『学校の怪談3』のみ季節感が薄く、サイコスリラーの趣が強い。『2』の校舎の潔い破壊っぷりや、子供たちの気心の知れた会話のやり取りなどは大変心地よい。『4』のヒロインとコウちゃんという歳の離れた二人の噛み合わない会話の成立は、古き良きアメリカ映画を思わせる。4人の旧友たちを海の底にあった校舎から発見したコウちゃんが涙など流さず、謝るようなこともせず、ただただ再会を子供のように笑って喜んでいるのも良い。
とりわけ『1』『2』の美術や照明はいちいち見応えがあり、サッカーボールが異様な動きをして妹を旧校舎へ導き陥れるまでのシークェンスの凄みは尋常でない。どうして連れ去られる直前、彼女は微笑んだのか。
野村宏伸がシリーズを追うごとに無責任な大人になっていくのも痛快。西田尚美はまるで逆向きに成長していく。
1は落下、2は上昇、3は画面手前へ走り、4は浮上することで学校の呪縛から逃れられる。
『4』の台風の撮り方や、酒屋の娘が神隠しに遭うまでのホラー演出の呼吸なども本当に素晴らしい。何者かに襲われて酒蔵のはしごを駆け上がった少女が、もう一度降りるために下を覗き込むと、誰もいないものの、天井から垂れ下がった電球がジーッと音を立て始める。恐る恐るはしごを降りる途中、何がしかの気配を感じたのか彼女はわざわざ一度止まって間を持たせ、再びはしごを降り始めると、少女とともに下がったカメラがはしごの向こうに佇む少女の幽霊を見事な構図でとらえる。
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