No.1656
カーテンコールを見ると、いい舞台を観たなぁと改めて思う。大好きな瞬間だ。演じた者と観客が一体となって物語の余韻に浸れる。これこそ舞台の最大の武器。
観終わった後の虚脱感や寂しさの質を明るいものに変えてくれる。
映画には残念ながらそれがない。
毎回、プツッと終わって、突然の静寂に戸惑ってしまう。観客席を離れる時いつもそう思う。
この公演、更にエンディングに過去のキャストまで揃って「ザ・ファントム・オブ・ジ・オペラ」をたっぷり聴かせてくれる。
すごいサービス。
「素晴らしい公演だった。」
この場に行ったわけでもないのに、その臨場感に酔いしれた。
きっとこの公演が終わって帰宅への道みち、話題は尽きなかったに違いない。あるいはその夜、感動を肴に美味しい一杯が味わえたのではないか。
舞台という限られた空間の中で、それを意識させないカメラワークが素晴らしい。これは見事としか言えない。窮屈な感じが全くしないし、舞台の役者の表情もしっかり捉えて、「映画」と遜色ない。勿論、映画なのだが。
これこそまさにミュージカル。その醍醐味の本物の歌声と音楽をたっぷり楽しめた2時間半だった。