サイクロプス

ラフマニノフ ある愛の調べのサイクロプスのレビュー・感想・評価

3.5
ロシアの作曲家ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は、映画やドラマでもおなじみなので、耳にした人も多いと思う

古くはグレタガルボの "I want to be alone"(ひとりにしておいて)で有名な「グランドホテル」
有名なのは、既婚者同士の道ならぬ恋愛を描いた「逢びき」
ビリー・ワイルダー監督も、マリリンモンローがヒロインの「七年目の浮気」で使っている
日本では、ドラマ「のだめカンタービレ」で、千秋様(玉木宏)が熱演した
のだめでラフマニノフの名前を知った人も多いはず


ラフマニノフの人生は、ピアノ協奏曲の激しい旋律以上にドラマティックだ
最初の交響曲は、師匠との確執を経ながらも憧れの年上女性アンナに捧げたが、初演は大失敗に終わり、失意のあまり鬱になる

催眠療法による病状の回復と、ピアノの教え子への愛情をきっかけにピアノ協奏曲第2番を完成させ、初演を自らが務めてこの有名なピアノ協奏曲を世に送り出した

ロシア革命の際には、交際歴のあった女性の手助けを得て米国に亡命
そこでの彼は「ラフマニノフ プレイズ ラフマニノフ」(という名盤CDがある)を体現するが如く、演奏家として大成功する
一方で、作曲の方は行き詰まり焦燥に駆られた彼の元に、送り主不明のライラック(映画の原題)の花束が届く…


映画一本を通して、ラフマニノフ の音楽生活の苦悩と三人の女性との遍歴が描かれている
美しい旋律の裏側を知りたい人にはうってつけの映画