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蛇のひとのSSDDのレビュー・感想・評価

蛇のひと(2010年製作の映画)
4.0
■概要
小さな会社で部長が自殺した。その日を境に課長も姿を消した。営業補佐の女性は、エースだった課長に付いていたが失踪の理由を会社の上層部から押し付けられる。

■感想(ネタバレなし)
ハムのひとは別所哲也、蛇の人は西島秀俊。…古いな。

馬車馬の如き働かされ、明日も休日対応で疲労困憊。そんな中、会社物観てしまったと…思ったらとんでもない怪作だった。

消えた課長を追ううちに見え始める、課長の所業。善人のようだが違和感を感じてしまう様々な人々の話から、主人公が行き着く過去とは…。

思ってもみない世界観に変わっていくこの作品は素晴らしいし、非常に好みだ。

出てくるキャストは豪華だし、13年前とあって若々しいお姿を見れるのもなかなか良い。

あまり色をつけずに観てほしいのでこれ以上は書くのは控えます。








■感想(ネタバレあり)
・サスペンスからホラー
やはりどんなホラーものを観ても怖いのは人であるし、この作品は途中からジャンルごと変わったかのような重さになっていき驚いた。どうにもきな臭い他人を不幸に陥れる男の人死まで出る過去は想像もしておらず、途中から没頭してしまった。

・煽動者
今西は人を口車に乗せて楽しむ煽動者側。自分の能力を楽しんでしまっている。
これを観て自分も共感できてしまった。

様々な何人かで行うゲームや気晴らしの遊びもやはり扇動して思うように人が動くのが好きだし、今の仕事も人を煽動することが生業なのだから共感できてしまった。

昔のことを思い出したが、新卒にセクハラしている人事部長がいて、不愉快に思った。仲の良い上層部に秘密裏に働きかけて追い込んだんだが、病んで辞めてしまった。本人はそのつもりはなかったそうで、二人きりで飲んだり家に招いたのも善意のつもりだったと…。
会社は印象やイメージをついたらレッテルを貼られて剥がすのは大変だ、失墜させることはある程度簡単にできてしまうのだとわかってから印象の植え付けは行わないようにしてるが、自分の発言で印象操作や追い込むことはやり過ぎてしまったと思ったが…至る経緯までは楽しんでいたと思う。

・総評
よくできたサスペンスで誰にでも蛇はいるという主人公の受け止め方や、ままとして何も変えないでそのままの自分でいられる強さはよかった。
人の顔色は見るが、コアの自分を見失わない強さを持つ女性というのを永作さんの演技力は素晴らしいものだった。
逆に西島さんの演技は無理した関西弁のせいで少し歯切れも悪かったが、途中から重さが一気に変わる怪作に出会えて満足。
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