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NOCEBO/ノセボのSSDDのレビュー・感想・評価

NOCEBO/ノセボ(2022年製作の映画)
3.9
◼︎概要
一人娘と成功を手にしている夫婦。そんな中、朽ちかけた犬が放ったノミに噛まれる幻覚を見てから妻は体調不良となり、やがて病は怪異を呼ぶ…。

◼︎感想(ネタバレなし)
最高にぶっ飛んだビバリウムの監督作品とのことで、U-NEXTポイントを即注入。
映像美がかなり上がっていて、遠近感を狂わすアップなどの独特の技法を駆使した異質なホラーに仕上がっている。

正直前半から主人公の女性のヒステリーな言動と、ぽつぽつとしか進行しない展開に剛を煮やすのだが、あっという間に落ちていくような終盤は圧巻。

流石ビバリウムの監督、人のいらつかせるのに長け、不条理なホラーを作らせると凄まじいものを造る。
フラストレーション・不条理ホラーというジャンルと捉えてもう良さそう。

社会風刺的な内容を織り交ぜながら、不穏な怪異を魅せられるとなれば、usやゲットアウトなどを思い出すと思うが、本作も風刺こそ局所的なものの、なかなか楽しめる作品でした。
相変わらず評価低いのは残念ですが、皆様も不気味な怪異を楽しまれてはいかがでしょうか。










◼︎感想(ネタバレあり)
・ノセボ
プラシーボの逆で副作用などの悪い効果を信じ込んで効力が発揮されてしまう現象。
シャーマンのような存在は人の施す治療も悪疫も全て、刷り込みによるものなのかもしれない。
全ては罪悪感を糧に怪異をみせていたようにも思える。

妻はファストファッションのために労働を低賃金の地域に強いて招いた火災事故の死の罪悪感。

夫は支配欲が強く、かごの鳥が逃げ出し自分に向かってくるというのは、自分のコントロールを逃れるのが許せないという罪悪感。

娘は周囲と自分の特異性に自己嫌悪という罪悪感。

それぞれの罪悪感を増長させて怪異が強まっていくというノセボなのかもしれない。

・総評
ビバリウムに続くようなフラストレーション・不条理ホラーは私の中でかなり好みの作品になってきました。
相変わらず評価低くて残念ですが…。
私的には今回はストレートな怪異ではなくじわじわとにじり寄るトーンを出してきたというのも、非常に良かったですが映像美が高くなったことを活かして、ビバリウムのようなストレートな怪異をまたやって欲しいと期待しています。

今後の楽しみな監督になりました。
名前覚えられんけどな。
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