欲望が人を貶める。
人が人を貶める以上に、その人の欲望によって自身が貶められるということである。
ストーリーを追うだけだと正直そこまで面白く感じないが、ボギー演じる主人公含めたキャラクターたちの駆け引きなどの人間模様が面白かった。
この作品のタイトルでもある「マルタの鷹」という宝を巡って、彼らの人間性が露呈される。
誰も何も信じられなくなるほど、次々と怪しい人物が登場する。
特にピーター・ローレ演じるカイロという不気味な雰囲気の男の、サイコパス感が怖くてよかった。
おどおどしているけれど、目の奥に自信を感じるようなそんな怖さである。
アクション映画ではあるが、アクションシーンはあまり派手ではないがかっこよかった。
例えばボギーが敵から身をかわし、むしろ相手から武器を奪うというもはや一種の技には、ぐっときた。
そしてやっぱりボギーがかっこいい。
去り際も悪者に対しても女性に対しても、ずっとスマートに正義を貫くという役柄もハマっていた。
ボギーの良さをシンプルに堪能するのには、個人的に満足のいく作品だった。