江利チエミサザエさん記念すべき1作目。
流石の江利チエミ。ジャズィーな劇中歌も素晴らしいが、サザエさんのイメージにバッチリの演技力も驚き。芸達者ぶりが冴える。
物語は磯野家の面々のドタバタを通して、サザエがマスオと出会い恋に落ちるまでの恋愛劇が描かれる。
キャストも豪華。サザエの江利チエミを始め、マスオが小泉博。フネが清川虹子。波平(劇中では松太郎?)は藤原鎌足。ノリスケはなんと仲代達矢!カツオはよくわからないが結構イケメンで演技も上手い。ワカメは松島トモ子。ご近所の三河屋さんなどにバックコーラスとしてダークダックスが花を添える。他にも金語楼や花菱アチャコ、若山セツ子、白川由美など脇役にまでお馴染みの俳優を設けていて、制作側の意気込みがわかる。
映画独自のアレンジをしてあり原作と違う点も多々ある。そもそも歌のシーンなども多いし、マスオ・ノリスケをはじめ一部キャラも微妙に違ったりする。
それでも今作は紛うこと無きサザエさんだ。むしろ今のアニメのサザエさんよりよっぽどサザエさんしてる。本来のサザエさんは日本の一般的な中流家庭などでは無く、当時の先鋭的でアナーキーな家族だったんだよね。
今作で最もそれを象徴するのが、江利サザエが時おり妄想する欧米なスタイルだ。ドレッシーな衣装を着て歌うさまは欧米社会への憧れであり、古き良き日本では無い。古かった当時の日本は良くなかったのだ。
とはいえ戦後10年が経ち、東京の目覚ましい近代化には目を見張るモノがある。
サザエさんが就職に来た丸之内の風景や銀座のデパートなどを見ると、まさに「もはや戦後では無い」時代だったんだな〜
ノリスケとオリジナルキャラのミチコとの、サザエとマスオとの恋愛劇もどちらもフェミニンで前時代的な雰囲気が無い。
長谷川町子的なコメディさ、映画オリジナルな恋愛劇、江利チエミの歌とが良い案配にバランス良く共存している快作!ビビディバビデブ〜♬