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ロッキーのSのレビュー・感想・評価

ロッキー(1976年製作の映画)
4.0
ボクシング映画の金字塔 『ロッキー』シリーズの第一作。
シルヴェスター・スタローンの代表作。

フィラデルフィアに暮らす全盛期を過ぎた三流ボクサーのロッキー(シルヴェスター・スタローン)はボクシングだけでは生活できず、高利貸しの取立て人をしながら生活していた。努力もせず自堕落な生活を送るロッキーだったが、ある日突然世界ヘビー級チャンピオンのアポロ(カール・ウェザース)から対戦相手に指名される。もし15ラウンド終わってもリングに立っていることができたら、自分がただの三流ボクサーでないことを証明できる…愛するエイドリアン(タリア・シャイア)のために一念発起し、過酷なトレーニングに挑む。勝てる見込みはないと誰もが思う中、ロッキーは戦いのリングに上がる…。

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無名だったシルヴェスター・スタローンは主人公さながらのアメリカン・ドリームを成し遂げ、この一作でスタローンを大スターの座に押し上げた。スタローン自身の脚本である。
撮影は低予算で行われ、エキストを使わない設定に変更したり、戦うシーンでは最初に傷ついた特殊メイクをして徐々にそれを落としながら逆方向に撮影していくなど、工夫したスタローンの情熱が感じられる。

本作品はその後のスタローンのキャリアの所為もあって、感傷的な作品と位置付けられているが、労働者階級の白人を愛おしむように細かく描いている。ロッキー、ポーリー、エイドリアン、ミッキーは、それぞれ高利貸し、精肉業者、ペットショップの店員、ジムの管理人として働いており、希望や夢の中でしか這い上がれない。社会的弱者が懸命に努力したのちに、努力が報われるというフォークロアの世界に回帰している。

エイドリアン役のタリア・シャイアは『ゴッド・ファーザー』の主人公マイケルの姉コニー役で有名であるが、本作品では内気な眼鏡の地味な娘である。ファッションが可愛い。

かの有名なビル・コンティによる、トランペットの高音とパーカッションの低音が響き渡る『ロッキー』のテーマ曲。

ラストのリングのシーンは、勝利だけではなく挫折や困難を乗り越え自分を証明するために戦うロッキーの姿。ロッキーが何度も「エイドリアンー!!」ラスト・カットの「I Love You」を絶叫するシルベスター・スタローンのストップモーション。主人公のヒーロー・ショットである。

ジョン・G・アヴィルドセン監督は、恐らく本作品のヒットにより『ベスト・キッド』で同じような構造をもって市井のアメリカン・ドリームを描いている。私にとっては『ベストキッド』は馴染み深い青春映画。ヘタレ男子がカラテと出会い猛特訓の末に勝てる見込みのない相手に勝利する。
一風変わった練習方法が特徴的であり、冷凍肉に打ち込むボクシング練習法、『ベスト・キッド』では、師匠ミヤギ伝授の変わったカラテの練習法である。
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