開拓農民と牛追いたちとの対立という、西部劇の超王道ストーリーを軸に、テキサスの町を牛耳る悪徳判事と、正体不明の流れ者との友情(?)と決闘を描く、佳作。
独善的な判決で牛追いたちに有利な判決を繰り返し、吊り首の極刑もバンバンと決定される法廷は、なんと、判事が経営する酒場のカウンター(!・笑)という超設定で、しかも、判事は実物を見たこともない女優を崇拝しており、馬泥棒の疑いで法廷に連れてこられた流れ者の男も、その女優と会ったことがあるというだけの理由で執行猶予となる。
牛追いたちの嫌がらせでトウモロコシ畑が焼き討ちにあう終盤のクライマックスは、炎を背景にした馬の疾走を観るために用意されたセットのように、ある意味では美しく調和しており、見ごたえのあるシーンになっている。しかし、うーむ、となってしまうのは、開拓時代の社会問題も問いたい、コメディもやりたい、メロドラマもやりたい、決闘もやりたい、群像劇的に多人数をちゃんと描きたい、という風に、プロットがあまりにも散漫だから。
悪くはないが、西部劇というよりはそこそこの出来のハリウッド映画として観るべきかも。