猫脳髄

悪魔のサバイバルの猫脳髄のレビュー・感想・評価

悪魔のサバイバル(1985年製作の映画)
3.5
スラッシャー・ブームはおおむね1986年には終息したとされ、晩期にはいかにカノンを挫くかを競う変則作品が数多く登場しており、本作もそのひとつといえる。監督のニコ・マストラキスはフィルモグラフィーを見る限り雑食で、時宜にかなった「ウケる」作品を手掛けるような職人監督気質らしい。

サバイバル・ゲームの優勝チーム「ゼロ・ボーイズ」とそのガール・フレンドたちが迷い込んだ森のロッジ(※)で、スナッフ・フィルムを製作する殺人集団と遭遇して死闘を繰り広げるという筋書き。主人公のパートナー役で、個人的にお気に入りのジャンル女優、ケリー・マロニーが出演している。

襲撃者側の圧倒的な実力行使を被害者側が知力でかわすというスラッシャーのカノンを転倒させ、違法改造した銃器で武装するゼロ・ボーイズの火力と襲撃側の策略が衝突するという趣向で、例えば「サザン・コンフォート/ブラボー小隊 恐怖の脱出」(1981)のような、軍隊vs地元民の闘争を扱ったサバイバル作品のパロディに仕上がった。また、スラッシャーとしては大胆な流血シーンなどは意図的に控えめにしており、森林での両者の闘争をテンポよく映し出すことにしぼっている。

音楽の共同製作に駆け出しのハンス・ジマー、美術アシスタントにフランク・ダラボンら後の「巨匠」がクレジットされるなどのトリヴィアもあなどれない、なかなか楽しめる作品に仕上がっている。

※登場人物がやたらと「ジェイソン」に言及するが、どうやらロッジ自体が「13日の金曜日 PART3」(1983)の使い回しらしい
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