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必死の逃亡者のharunomaのレビュー・感想・評価

必死の逃亡者(1955年製作の映画)
4.5
凡庸な家族の肖像(顔)が、危機的な状況の中で、ここまで変容する。
後半は完全にノワールと化し、住宅街の夜を静けさのなかでうごめき始めるものたちの姿、家族たちのあり様に泣ける。この不気味な静寂と命がけの救出への一騎討ちが広がる前夜の喧騒には、胸を締めつけらる。
ボガートもいいが、人質であり奮い立つブラックスーツのお父さんフレデリック・マーチが誰よりも一番やばい目をしているのがおもしろかった。もはや完膚なきまでに打ちのめされたボガートとのラストの切り返しはやばかった。シンクロから異界が開かれそうであった。
どちらにせよ家族が闘う映画は泣ける。
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