寅さんを六作みた。
作りは水戸黄門とおんなじだ。
「寅さん」という、もうなんかおなじみで安心する型がある。
旅先で故郷を想い、もう二度と葛飾柴又には戻らないぜ、止めるなよ、と出ていったにも関わらず、必ず帰ってくる。
しかも、第一作からみて初めてわかったのだが、寅さんは一月か、長くとも二月に一度は帰ってきている。その都度都度であれだけの大騒ぎを必ず毎回起きしていくんだ。そりゃ家族は大変だ。私だったらあんなに優しくなんてできない。
フーテンの寅さん・新男はつらいよの二作は、山田洋次監督じゃないのだが、寅さんは寅さんであっても、どこか感動に欠けてしまう、と思うのは私だけなのかな。
望郷篇・純情篇で監督が戻ってようやく、「これが寅さんだ」と思えた。
寅さんは間が悪い。喧嘩では必ず負ける。恋は絶対に叶わない。失恋の嵐だ。その嵐の被害を周りの人たちは存分にくらう。
寅さんは恥ずかしがらず、もう四十を前にしている大人なのにも関わらず、失恋したときにちゃんと泣く。悲しむことができる。
それを機にまた旅に出る。痛い心を紛らわすかのように、最後には寅さんが威勢よく商売をしている姿で終わっていく。
春夏秋冬、着物はほとんど変わらない。
寅さんは今日もどこかで誰かの世話になりながら、誰かに恋をしながら、時には人に感謝されながら生きてる。
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3456話分の感想。