なんていうか、テーマは「愛」なんですよね。
原作を書いている平野先生も綴っているけれど、「マチネの終わりに」とは全く別の「愛」の形を描いている。
物語の終盤で、里枝が城戸に言う言葉が力強い。
あの人とこの町で出会って、好きになって、一緒になって、花が生まれて。それは、紛れもない事実なんですから。
そういう物語だったんだと思う。
原作の特設サイトに大きく書いてある、
「愛にとって、過去とは何だろう?」の言葉。たしかにその意味を考えさせられる。
国籍、学歴、家族、幼少期の記憶。
誰にでも、過去を思い出したらチクッとする事は何個もあるはず。
恥ずかしくて思い出したくない事も。言われて傷ついた言葉も。打ち明けられないトラウマも。
その人が決して弱い訳じゃない。
大きくて重すぎて、抱えきれない事がある、という事だと思う。
なんだろう。
人のそういう事については、無理しなくていいと思ってる。逃げても捨ててもいいし、私はそんな重いものが今のところ人生にないから、抱えてる人は大変だと思うし。
辛さや悲しさや怒りは、感じ方も人によって違うし。
けど、大きなものを持っていない私だから言える事なんだろうけど、
私は過去にとらわれたくない。
目の前の人とは、出会った時からが始まりだし、目の前のあなたがあなたの全てになるわけで。
打ち明けられた時に、笑わず、軽蔑せず、余計な事は言わず。受け止められたら良いなと思うよね。
自分で自分に呪いをかけたくない。
どうしても、自然とかけちゃうんだから。
気づきたいよね。