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Butterfly Jam(原題)
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『Butterfly Jam(原題)』に投稿された感想・評価

[家父長制の呪いに苦しむ男たち] 30点

カンテミール・バラゴフ長編三作目。長編一作目『Closeness』は"ある視点"部門で国際批評家連盟賞を受賞、続く長編二作目『Beanpole』も"ある視点"部門で監督賞と国際批評家連盟賞を受賞したので、そろそろコンペ格上げか?と思っていたら、監督週間に登場。ドラマ『ラスト・オブ・アス』の撮影現場での混乱を目の当たりにした結果、引退宣言までするに至り、今回は7年越しの新作となったわけだが、どうにもギャップを埋めるに十分な作品とは言い難い。物語はニュージャージー州ニューアークのチュルケス人コミュニティに暮らす一家を描いている。長女ザリヤの経営するチュルケス料理店に、二人の弟アジクとマラトは寄生するように暮らしていた。アジクはなにもかも失敗続きで、自分の一人息子テミルがレスリングの地元大会で優勝するくらいの実力であることくらいしか誇ることがない。血の気が多く浅慮なマラトは問題ばかり起こしている。裕福な同胞が新たに始めたレストランでシェフの仕事に落ちたとき、アジクはテミルにこう言われる。"あなたは弱い"と。過去二作では家父長社会で抑圧される女性を主人公とし、彼女たちの視点から家父長制を見てきたわけだが、今回は家父長制の呪いの中にいる男性たちを視点人物として設定しているのが新しいと言えるだろう。問題はテーマがずっとボンヤリしていることだろう。上記の新視点もキャリアを通して見てみると過去作から新しくなったというだけで、何かを世界へと問いかけて変えようとするようなものではない。アジクの人生が現在進行形で何もうまく行っていないという描写にも時間をかけすぎている。ニュースでやってた公園にいつペリカンを捕まえてきたというどうでもよすぎるサブプロットとか、同じレスリング教室の少女との恋模様とか、とにかく散漫なプロットが空中分解していて、頭を抱えてしまった。バリー・コーガン、ライリー・キーオ、ハリー・メリングなど実力のある俳優たちが宙ぶらりんな脚本の中で窮屈な演技を強いられているが、そもそもチェルケル系の俳優たちを配役出来なかったのだろうか?とも思ってしまう。それでも、アジクがザリアに"俺は弱いか?"と尋ねた後の、無言で伝統舞踊を舞うシーンだけは(スチルになるくらいなので)美しかった。