池袋・新文芸坐での『成瀬巳喜男監督特集』で鑑賞。
母親が娘の三姉妹に三味線流しをやらせて生計を立てているが、長女は不良の仲間とツルんでしまい小杉という男とデキている。次女が一番しっかりしており、「三味線の曲をいかが?」と執拗に客に勧めるあたり、粘り強い。三女は、父娘ほど年齢差のある男とデートしている。
こうした三姉妹(レン、おそめ、ちえこ)を中心に描かれた物語。
最初は「あれっ、サイレント映画か?」と思った冒頭だったが、トーキー映画だった。
成瀬巳喜男監督の初トーキー。
長女は、小杉という男が肺を患って「幸福だと思ったことないけど、不幸でもないわ」と言う。
土管に座る男と三女を「土管の中から捉えたショット」は素晴らしい。
また、銀座松屋の屋上から見た「戦前の東京に川がたくさん流れている風景」、これまた素晴らしい。
なかなかの佳作であった。