第3逃亡者

素晴しい哉人生の第3逃亡者のレビュー・感想・評価

素晴しい哉人生(1924年製作の映画)
5.0
戦争から帰ってくるポールを家族が出迎える時に恋人のキャロルデンプスターだけが一人扉に背を向けて立っているのを見てグリフィスの演出を確信。ポールが体調を崩すシーンも心配のあまり立っていられなくなるインガを別室へと連れていくことでカットバックしてコンテュニティーするためだし、枕元でキス、月明かりの窓辺でキスさせるのは引きから寄りへ寄りから引きへのアクション繋ぎしてツーショットを炸裂させるからに他ならない。最初と最後に反復される池のショットの美しさはいうに及ばないだろう。旅芸人がベッドを占領されるシーンの左横からのそろ~と入ってくるロシア人たちの動きや、ばあ様が引き裂いた肖像画をちり取りで片付ける生真面目な運動、壁に引っ掛けた教授のジャケットがずり落ちるさま、床に置いたアコーディオンがふにゃあと沈みこむさまなどからグリフィスがギャグ的な動きも熟知していたことを思い知らされる。レバーソーセージのシークエンスがお気に入り。いつもよりちょっといい夕飯を食べるってだけで、「ポニョ」の即席ラーメンのシーンみたいにこんなにも楽しい時間を撮れてしまえるのが最高だ。