新撰組を貧しい家族を助けるための出稼ぎの場としていた吉村貫一郎を描く。
志で動く新撰組の中にあって給料が上がると大喜びの吉村貫一郎。理想ではなく死に場所を求めてるかのような斉藤一。ひたすらに生を求める吉村と死を求める斉藤。 でも、時代は吉村を殺し斉藤を生かした。晩年の藤田(斉藤)が何とも言えずいい。
吉村はただの守銭奴じゃない。家族の為に国を裏切った。だからこれ以上の不忠はできないと固く決めている。その為には命をかけて戦う、非情になる。 普段の南部なまりのひとなつっこさと戦いの時の非情さのギャップがいい。
そんな吉村が最後に恥を忍んで藩屋敷の旧友に助けを求めるのがせつない。吉村を助けたくても助けられない。死ねっていわなきゃいけない。 生きること、死ぬこと、戦うこと、全て単純でなく複雑に絡まっている。
団体の理想より個人のわがままの方が崇高に見えることもある。そんな映画。