奥田英朗の原作を読んで感動したので、鑑賞しました。原作と映画を比較するのは可哀相なので、点数高めにしました。父親役のトヨエツと母親役の天海祐希ははまり役でした。
基本的に、伝説のアナーキストであるトヨエツとその家族に、次々と無理難題が降りかかってくるという展開がおもしろいです。
職業不詳のトヨエツが、修学旅行の積立金を着服している小学校の悪徳校長の悪事を暴いたり、役所の不正を暴いたり、正義をつらぬくのですが、そういうことをされると困る人たちもいて、地元のやくざや右翼団体、NHKなど、たちの悪い連中が「非国民」「国民の義務を果たせ」などと言って圧力を掛けてきたりします。
で、東京にいずらくなって沖縄に移住するも、またそこでリゾートホテルのディベロッパーと、自然を守りたい地元住民の間のいざこざに巻き込まれてしまうと言う流れです。
トヨエツはすごく筋が通っていて、言っていることにすごく説得力があります。地元住民のために、悪徳ディベロッパーや国家権力と堂々と対峙しますが、誰がつくったかもわからない理不尽な法律と圧倒的な武力を背景にした国家権力に敗れ去ります。
しかし、希望は常に有る、というトヨエツと天海祐希は警察から逃れて、自由な新天地、南の島にあるという伝説の地‘’パイパティローマ‘’を目指すのでした。
「正しいと思ったら、最後までやり抜け」「孤独を恐れるな。常に理解者はいる」。両親が沖縄を船で脱出するラスト、子どもたち二人に言い残す言葉です。この台詞にこのお話が言いたかったメッセージが凝縮されていて、胸を打たれました。
最初に述べたとおり、原作と比べると可哀相なので、甘めにみてみて、いい映画だったと思います。中島美嘉のテーマソングがメチャクチャいいです。