ぽぽぽ3号

シッコのぽぽぽ3号のレビュー・感想・評価

シッコ(2007年製作の映画)
3.5
「自由」であることの恐怖を思い知らされる映画である。

医療制度における国民皆保険が、自由とは正反対に位置する政策であると主張してきたアメリカの政治家と医療関係者たち。その結果、保険会社の承認が下りない限り、まともな医療を受けることができない状況に多くの国民が苛まれている。
一方、カナダやフランスといった国々は、全国民が無料で高水準の医療を享受することができる。もちろん、税金と引き換えであるという点において、そして、たとえ自身が医療を受ける必要がなくても税金を支払うという点において、選択の余地がない。すなわち、自由のない制度である。ところが、誰も不平をもらす者はいない。

明らかに、アメリカの医療制度は常軌を逸している。政治家と医療関係者は、自由に選択できる権利、自由主義を盾に、カナダやフランスの医療制度を批判する。しかし、彼らが本当に守りたいのは自由なんかではなく、国民から搾取することのできる永続的な特権に過ぎない。金で操られてしまった政治家たちで溢れかえる国会。もはや、アメリカは自由の国などではない。金の亡者が蠢く、隣人愛が消えゆく国である。
ぽぽぽ3号

ぽぽぽ3号