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青の炎のnanaのレビュー・感想・評価

青の炎(2003年製作の映画)
4.1
本作は読書の趣味を共有する友達から熱烈な勧めを受けて視聴した作品。
思春期の葛藤と、あたかも自分が動かないと世界が何も変わらないかのような主人公の錯覚を、非常に的確かつ美しく表現してあり、とても余韻の残る素敵な映画だった。
特に冒頭の数分がかなり良くできている。いきなり手を写し、徐々にズームアウトすることで主人公が空の水槽にすっぽり収まった体勢で物思いに耽っていることがわかる。そこから、特に目立った台詞はないのにも関わらず、彼の何とも格好いい自室や彼が登校するまでの様子から、彼がどんな人物像なのかを視聴者にスッキリ伝えられる構成となっている。観客を惹き込むのにこれ以上のオープニングはないと思ったほどだ。
映画の全体を通して振り返ると、結末だけ何となく推測出来てしまうものだったのだが、それを含め総じて非常に綺麗にまとまった映画であるという印象を受けた。
相対する存在としての警察を無機質に描いてしまわないところや、甘酸っぱい関係の行方、計画から実行と結果までの流れに無理がないところ、素晴らしいタイミングで幼少期のエピソードを盛り込んでくるところ等など、気にいったポイントが幾つもあった。
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2時間もない映画なので案外サクッと見れてしまった。気になっている人には是非観てみて欲しい。
ちなみに、友達は原作の小説が好きで、ニノ主演であることからそれ目当てで視聴したそうだが、そんな次元に囚われない素晴らしい作品だったと力説してくれた。それも、筋書きが倫理的に意味をなし展開が充実してる作品が好きな私のような人には溜まらないだろうと言うのだ。結果正しくその通りだったのでかなり感謝している。
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