nana

パターソンのnanaのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
4.4
ジム・ジャームッシュ作品への窓口としても良さそうな映画だった。初心者におすすめしやすい。

画像・視線・色味も綺麗で、言葉は美しい。
映しているのは一般男性の一週間。
突飛性はないが、飾らない幸せを見るための「詩」がテーマ(とはいえ押し付けがましくない)だから、
見ていて森林浴をしているかのような、マイナスイオンが沁み込んで来るような、そんな感覚をくれる。
その余韻が心地よい。

ボンバスティックさを望むならこの作品にはないけれど、代わりに生活のリズムやその人らしさを丁寧にかつ素直に見せてくれるから、
観客として自分自身に投影できる。

とはいえ、正直に言うならば
パターソンの夫婦関係が、
お互いの性格の凸凹がリアルで、かつそれでいて理解しあい、時には諦めつつも思いやる夫婦関係が理想的に見えてきて、
そしてその描写があまりに映画で見せる日常にぴったり嵌っていて
こんな同棲生活したいななんて、どうしようもなく遠距離中の恋人のことが恋しくなってしまった。

おセンチで見てても、終盤のヘンテコちぐはぐ日本人に全部持ってかれた。何じゃありゃぁ笑
ジム・ジャームッシュの日本好きって可愛くて、そして若干ずれてるんだよなぁ
Translating a poem is like taking a shower with a raincoat. 
という言葉も刺さった。日本人として、文化・生活圏の当事者として見える世界と、全く目線が異なるからこその表現なんだろうと思うと面白い
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