三樹夫

ハスラーの三樹夫のレビュー・感想・評価

ハスラー(1961年製作の映画)
4.1
賭けビリヤードで金銭を稼ぐビリヤード師が主人公の映画。ハスラーとは、本来の意味であれば金を巻き上げる人というか詐欺師みたいな意味だが、この映画においては勝負師という訳が当てはまる。また『ハスラー』、『ハスラー2』とあることでハスラーはビリヤードプレイヤーを意味するようにもなった。

小学生の時、老人ホームで何らかのゲームを複数回に渡り入居者と一緒にする課外授業があって私はビリヤードを選択した。なので一応ビリヤード経験はあるがナインボールぐらいしかやったことない。その時はラシャを破くと全面張替えになるからと耳にタコができるぐらい言われ(調べたらどれだけ安くても3万円からかかるみたい)、ラシャは破くととんでもなくヤバいと刷り込まれてしまった。後々得た知識では『フルハウス』のダニ―の人はビリヤードが上手いというのだけ知ってる。
ポール・ニューマンは全くビリヤード経験がなく、猛特訓を重ねて撮影に挑んでいる。手のアップだけで曲打ちをしているカットなどはさすがに本職のプロが行っている。

凄腕のビリヤード師のエディはミネソタ・ファッツとの勝負に挑むが敗北する。そしてミネソタ・ファッツとのリベンジマッチに向けて話は進んでいくという、大枠は王道の展開を行くものとなっている。
ミネソタ・ファッツは見た目デブの冴えないおっさんだがビリヤード普通に強くて、勝負時には一張羅着て正装して挑むというやたらカッコいい。しかも戦い方が何十時間にも渡ってプレイし相手の体力と精神を削って勝つという蟻地獄戦法で泥沼に引きずりこんでくる。エディもミネソタ・ファッツも架空の人物だが、公開後勝手にエディやミネソタ・ファッツを名乗るビリヤード師が現れた。ミネソタ・ファッツに至っては、社会保障の登録名までミネソタ・ファッツに変更したビリヤード師のオヤジまで出てくる始末。それぐらいエディとミネソタ・ファッツがカッコいい。

失意のエディはサラというアル中インテリ女性と出会うが、サラがアルコールに依存しているようにエディもビリヤードに依存している。またエディがチンピラに襲われ親指をへし折られるが、これはエディの心がへし折られたということを意味している。ビリヤードがメインの映画と見せかけて、人間性の成長や人間性の戦いというのをビリヤードでの賭けというのに具現化させている映画になっている。
昔のハードボイルド海外小説のような雰囲気が漂い、台詞回しが漫画の方の『コブラ』風味というか、特にこの映画の吹き替え版みたいなハードボイルド翻訳調の台詞回しが後に『コブラ』に全乗っかりしたのだろう。ポール・ニューマンにほえ~💕となりながら観た。
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