1942年、勢力を拡大するナチスはソ連に侵攻していた。戦争の行方を占うスターリングラードを舞台に、ソ連とドイツの狙撃手の戦いを描いた戦争ドラマ。
ソ連の狙撃兵ヴァシリをジュード・ロウ、彼を狙うドイツ将校エルヴィンをエド・ハリス、ヴァシリが惹かれるソ連人女性ターニャをレイチェル・ワイズ、彼女に想いを寄せるソ連の政治将校ダニロフをジョセフ・ファインズが演じるという豪華キャスト。
本作の見どころは、こうした俳優陣の共演に加え、狙撃手どうしの息を飲む対決を中心に、スターリングラード攻防戦を描いている点だろう。
物陰からスコープを覗くヴァシリとエルヴィン。お互いの相手の居場所を推測しながら狙いを定める。
一瞬の隙も許されない対峙は、観ている我々にも緊張感を与える。
二人の対決を軸に、ヴァシリとターニャのロマンス、それに横恋慕する将校ダニロフの嫉妬が描かれており、戦争映画ながらも娯楽性が散りばめられている。
同時に、戦争の無残さも伝わってくる。
爆撃に怯えながら息を潜めて生活する市民。明日の命が保障されない毎日。
雑魚寝する兵士の隣で男女が抱き合うのは、単なる欲求の問題ではないだろう。この瞬間を逃せば、抱き合う日が来ないかも——そのような男女の覚悟が垣間見える。
ソ連とナチスの攻防ながら、全編英語なのが違和感。
しかし、個人的にはお気に入りの一本。