東京・銀座。海外の有名シェフもこぞって足を運ぶ日本料理の名店「壬生(みぶ)」。 わずか8席。そこでは裏の調理場から表の配膳まで、素材の良さを逃さぬよう、細心の注意を払い、料理が供される。訪れた者は、その一瞬を慈しみ、味わう。 大将・石田廣義(ひろよし)の料理はその時期の最高の素材を最大限に活かすため、二度と同じものには出会えない。「劇場」「短編小説」と評される唯一無二の体験は、訪れる人を毎回魅了する。 しかしその創作の源泉に、女将・石田登美子の豊かな感性と、静かな覚悟があることは知る人ぞ知る事実である。 「二人でなんぼのもんや」──およそ半世紀、数々の出会いを重ねて、独自の店「壬生」を作り上げてきた。 その奇跡は、自らの美意識を宿してきた“女将”の存在なくして語れない。 なおも新たな創作に向かう石田と、原点となる登美子の幼少期の記憶、死生観を描く。 次世代へと想いをつなぐまなざしは、混乱と分断の時代を生きる私たちの道しるべとなる。 巨匠・りんたろうによる書き下ろしアニメーションと、新進気鋭のドキュメンタリー監督・志子田勇の半年間におよぶ撮影で、鮮やかに描く。 ひとりの女性の生き様を通して届ける、至高の60分。