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荒野の女たちのENDOのレビュー・感想・評価

荒野の女たち(1965年製作の映画)
4.2
 女ばかりの布教団にアン・バンクロフト演じる医師が到来して壊れる関係性。余りにも誠実で粗野な存在に禁欲的な女たちは常に揺さぶられる。特にレイトンの失墜ぶりはあまりに痛々しく正視できない。蛮族に身を捧げて仲間を救うバンクロフトの行為は医師の範疇を超えるも、お涙頂戴にはならず「So long, ya basterd!」と言い放ち鮮烈に終わる。神では満たされない何かを求め宗教とは何ら関係ない真の献身を目撃したレイトンの「娼婦の中の娼婦!」発言は自らの信念が瓦解した故の断末魔に他ならない。(中盤でコレラに罹患し憔悴した娘同然のリオンを前に「神に祈れない!」とあっさり敗北を認めてしまってはいるけれど)
 未婚の理由が仕事の多忙さであったと語るバンクロフトと宗教上の禁欲あるいは無自覚なセクシャリティにあったレイトンの表裏関係。2人はコレラ・パンデミックの只中で初めて素直になれる。
 父権的な医師会に嫌気がさして国を飛び出してアルコールを呷るバンクロフト。カーンと契約を結んだあとに鏡に映る窶れた顔を見つめ、肉体的強者を目の当たりにして女としての自覚が再度芽生える。あの絶望と皮肉の混じった表情が忘れられない。
 ドゥンガ・カーンの描写はスタローン映画『コブラ』の邪教団を彷彿とさせて過剰、その物語を脱臼させる。自作字幕!
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