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危険な関係のtakのレビュー・感想・評価

危険な関係(1959年製作の映画)
4.7
ずっと観たかったロジェ・バディム監督作「危険な関係」鑑賞。ジェラール・フィリップ、ジャンヌ・モロー、アート・ブレイキーにセロニアス・モンク。あまりに淫らなお話なので本国で上映禁止を喰らったという逸話が残るこの映画。観終わってしばし放心状態。この世にはまだこんなすげぇ映画があるんだ…感動とも衝撃とも違う快感。

外交官夫妻のバルモンとジュリエットは、お互いの情事を報告し合う奇妙な夫婦関係。ジュリエットは愛人だった男性が18歳のセシルと結婚すると聞き、バルモンにセシルを誘惑するように提案。バルモンにとってセシルは従姉妹の娘なので、抵抗を感じながらも彼女を追ってスキーリゾート地メジェーブへ。セシルに迫る一方で、彼は美しい人妻マリアンヌと出会い、惹かれていく。

バルモンが仕掛ける恋の駆け引きだけでも十二分にスリリングなのに、ジュリエットが彼に次々にアドバイスや口添えをし、さらには行動を急き立てるから、先がどうなるのかハラハラする。しかもセシルの本命彼氏である学生ダンスニの存在が、登場する男女関係をますます複雑にする。なかなかおとせない貞淑なマリアンヌに心が傾いていくバルモンに、ジュリエットが関係の清算を急がせたことから、物語はとんでもない悲劇的な結末へ。

フェチで脚線を舐めるようなカメラワーク、女性をどう撮ったら美しいのかを知り尽くしたようなバディムの演出。全編に流れるジャズ。ダンディなジェラール・フィリップも素晴らしいが、それ以上に後半のジャンヌ・モローの怖さが強く印象に残る。この映画を美しいリマスター版で観る機会に恵まれたことを、映画の神様に感謝。大傑作。
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