Jumblesoul

危険な関係のJumblesoulのレビュー・感想・評価

危険な関係(1959年製作の映画)
4.5
長らく観たい聴きたいと思っていた、ロジェ・ヴァディム監督作品。原作は貴族社会が舞台だが、本作は現代のブルジョワ社会に変更。これが大成功と思う。
相手の浮気話を報告し合うという変な夫婦が主役で、オチはもちろんハッピーエンドとはいかない。自分達は満足しても、他人を傷つけたらロクな目に遭わないという教訓のような話だ。
美しい悪女の見本のような妻を、ジャンヌ・モロー。そして夫役が、本作が実質的な遺作になったジェラール・フィリップ。
名作『モンパルナスの灯』では貧乏画家を演じたフィリップが、こちらではリッチな外交官役。これが実にキザで嫌味な男で、これまた名演となっている。翌年には癌で急死するので、撮影当時は病魔と戦いながらだったはずで、本物の役者根性を見るようだ。
そして音楽がとにかく素晴らしい。ルイ・マル監督の『死刑台』はマイルスだったが、こちらもビ・バップ・ジャズの教祖セロニアス・モンクのピアノが全編で流れるのがたまらない。
当時のモンクは体調不良だったために書き下ろしはなく、既出の曲の再演集とはいえ名曲『パノニカ』があんな場面で流れると感動しかない。
パーティの場面ではケニー・ドーハム達本人が出演。ラストに流れるモンクの代打で演奏した、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの『危険な関係のブルース』が大ヒットしたというのも面白い。
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