2023/8/15
黒シリーズの1作目。秘密裡にスポーツカーの製作を進めている、タイガー社とヤマト社。直前に観た増村保造監督「巨人と玩具」と同じく、時代は高度成長期で産業スパイを扱った本作も見応えがある。が、いかにライバル会社を出し抜くかが大事で、人としてそれはどうなの?と思えることが多々。特に、部下の恋人を利用しようとする小野田、それを断らずに受けてしまう朝比奈に驚かされる。会社のためと言われても恋人・昌子には関係がなく、現代から見ると会社への忠誠心がかなり怖い。そして、後半はタイガー社内のスパイを探す展開になるものの、そんな曲者を演じられるのは彼以外に考えられず、あまりにも分かりやすかったのが残念。それでも、切羽詰まった時の表情と行動はインパクトがあった。奇しくも、立て続けに観た2本が黒い作品でちょっとお腹いっぱい。