黒の試走車(テストカー)の作品情報・感想・評価

黒の試走車(テストカー)1962年製作の映画)

製作国:

上映時間:95分

ジャンル:

3.9

「黒の試走車(テストカー)」に投稿された感想・評価

「でも綺麗な車ね」「汚い車だよ、真っ黒だ」

黒シリーズ第一弾。味のある田宮二郎。
産業スパイ、良くあるスパイモノよりもよっぽど手が込んでいて、面白い手法ややり手っぷりの鮮やかなこと!幾重にも複雑に絡み合った関係性に驚かされ、全員怪しく感じてくるから楽しい。
この作品で、船越の化け物っぷりを再確認した。怖いくらいの怪演。

黒シリーズと叶順子のテンポピッタリで好き。
田宮の重い問いかけ。突き詰めるといつの時代も働く人の問題の質は変わってないんだなあ‥と。現代の人にも変わらず響くテーマ。会社に命をかける男達のぶつかり合いが最高にアツい秀作。

このレビューはネタバレを含みます

黒いシートで覆った新型車の走行テスト中
カーブで車が横転炎上する。
テストの走行について知っていたのは幹部の人間だけだが
マスコミに事故を報じられる事となり大打撃となる。
産業スパイが会社に潜んでいる事を察知し、あぶりだそうとするが…



      ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


        ネタバレになるので
↓  作品が気になる方は閲覧しない方がいいです。  ↓


会社に潜む産業スパイがあぶりだすため
あらゆる事を想定し先手を尽くそうとする社員達。
世の中、上には上がいる。
宝石を噛みしめる女の姿
まるで感覚が麻痺するかのように
手段が見境がない範囲にまで及んでも
違和感を抱かなくなってゆく様が恐ろしい。
とても極端だけど世の中こうやって回っているような気がする。

このレビューはネタバレを含みます

1962年大映。黒シリーズ第1作目。原作は梶山季之の同名小説。自動車メーカー同士の仁義なき情報戦と妨害工作。手段を選ばない企画一課部長(高松英郎)と、上司のために恋人をも産業スパイに仕立てるその部下(田宮二郎)を中心に展開する。「リベート」という言葉の使用や、「販売店が客に送った質問カードをIBMにかけ」るというアンケート集計の仕方から、この時代の企業文化がどれだけモダナイズされていたか垣間見えた気がして興味深かった。「道徳を気にしてたら現代に生きられんよ」という台詞が印象に残る。なぜか足のアップが多い。
相変わらずのローキー、ハイコントラストがいい。そして叶順子。田宮二郎の命を受けてスパイするために菅井一郎と寝るシークエンス。事が終わったあと、相手のカバンから書類を盗み見て自分自身を抱きしめるところ。田宮二郎のアパートに戻ったあとのシーンで、菅井から貰った指輪にキスする一連の流れ、最高。
箕芳

箕芳の感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

あんたや馬渡みたいになりたくないって言ってんのに、馬渡に彼女を抱かせるような真似するなよ朝日奈……
やっぱりクールな増村映画は好き!
No1の新車を売り出す為にライバル会社の情報を探り合うスパイモノなんだが、長テーブル×シネスコの安定した格好良さと高松英郎の積極的外道演技、カメラを使った読唇術など細部が気持ち良い。
後、クライマックスで穢れてしまった男の背中を撫でてから肩に触れる女の手が滅茶苦茶色っぽい。
倒れた女がエロいのは増村映画の癖なんだろうか?
以後10作られたという黒のシリーズの第1作目

ストーリーは新車開発にむけての企業間のスパイ合戦
出演者やモノクロ作品な点を見てもそんなに期待された作品ではないんだろうけど、増村保造監督作品ってこともありそれなりに面白い

クレジットでは田宮二郎が一番最初に来てるけど、出番的には少ない、高松英郎のほうがそれっぽい、ラストのくだりとかおいしそうなところはそれなりにもっていってはいるけどそれなり

結構昔から存在は知っていて気になってはいたが、あまりぱっとしてない出演者から見ていなかった作品
ライバル会社を出し抜いたと思ったら出し抜かれている、二転三転するスパイ合戦、騙し合い、なかなか面白かった

あとは前半ほとんどモブに徹する船越英二、ミステリーでもそうなんだけど、名前が売れてるこのクラスの俳優がそれはないから怪しいよね、まあご愛嬌
この映画、「黒シリーズ」の第一作目だが、本作の予告編では「大映サラリーマン・スリラー第1作」となっている。
その後も続く人気シリーズ「黒シリーズ」となった。

スポーツカーの発売を巡ってライバル会社同士がスパイ合戦を繰り広げる。
冒頭、発売前の覆面カーの事故を新聞でスッパ抜かれたパイオニア自動車は、ライバル会社への競争心丸出し。
両社がスポーツカー発売前にデザインなどの探り合い、発売直前には販売価格の探り合いで、パイオニア側の社員(田宮二郎)は敵側の販売価格を知るために恋人(叶順子)を相手の懐に潜りこませて爺さんに抱かせて情報を得たりする。恋人の体を差し出す狂った世界。
スパイが誰かを追求し、しまいには自殺者まで出す有り様。

狂った会社競争がうんだ「産業スパイ」を通して、歪んだ人間社会を描いた増村保造監督の傑作。

このレビューはネタバレを含みます

「スパイはこの7人の中にいる!」と言われて、パッとしない顔ぶれの中に船越英二がいたら、「あ…こいつだな…」って思うよね

「巨人と玩具」のシリアス版ともいえる。高松英郎はこういう役がホントにあう(さすがに覚醒剤はのんでないが)。

田宮二郎といえば、出世欲や金銭欲や性欲にギラギラしてる役ばかりだけど、今作では最終的に良識に目覚める。意外とそんな役もイケる。
mingo

mingoの感想・評価

4.2
11作続く黒シリーズの第1作。
1番おもしれえんじゃねえかっていうくらいには増村節炸裂、何より高度経済成長期の歪み軋みがオブラートに包まず真っ向から右ストレートで語られるからくそほど面白い。自動車会社間の熾烈なスパイ合戦が舞台だがこれはどんな企業間でもあったことで、もちろん現代社会の企業戦士として生きる我らにも突き刺さる傑作。
盗聴、盗撮、潜入、窃盗、買収、脅迫、強要、美人局、最後は偽装事故!ラストの船越英二の窓ぶち破り自殺は57年市川崑「穴」のオマージュか。完全に上位互換的面白さ。大映も凄いがやはりの増村。傑作。
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