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パルムの樹のmitakosamaのレビュー・感想・評価

パルムの樹(2002年製作の映画)
3.6
なかむらたかしの集大成的だった大作。しかしヒットしなかったなぁ。この為にパルムスタジオも立ち上げたし並々ならぬ決意で作ったのだろうが…

その想いは映画からもヒシと伝わる。
かなりダークファンタジーなピノキオの物語。
科学者作られた木の人形“パルム”。地底の女戦死から受け取った“トートの卵”を内蔵し旅をする。
途中の街で少女ポポ出会い、人間になる為に地下世界に向かう。

先ず世界観が相当難解ですな。ビジュアルはメビウス(ジャンジロー)っぽい。不思議な植物が蠢く癖のある背景美術。
物語内の用語が多く把握し辛いのは致し方ないな。

そして、ぶっちゃけ陰気!!!暗い!!!ダークファンタジーだから当たり前なんだけど、それにしてもスッキリしない。
ポポは母親から虐待され自閉気味だったが、パルムに救い出される。
そんなパルムは人間への執着から周りが見えなくなり、キカン坊になっちゃう。

重厚なドラマは良いんだけどさ、内容的にちょっと気持ちが重くなる。
一番ショッキングなシーン。パルムが興味本位で刀を使って動物を殺しちゃうシーン。あのシーンの重要さは分かるんだけど、それでもやっちゃダメだった気がするぅ。

物語も良いし映像も素敵。心理描写は絶妙。子供の無邪気さと残酷さをこれでもかと表現してる。でももう少しマイルドさも必要だったのでは???
中盤から面白くなってくるのに、旅の途中から気持ちが一気にダウンさせられる。あれじゃ物語として救われないよ。
この後に作ったテレビシリーズのファンタジックチルドレンも陰鬱さが全面に出た作品だった気がする。
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