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あの夏の子供たちのnemumeのネタバレレビュー・内容・結末

あの夏の子供たち(2009年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

【メモ】
第62回 カンヌ国際映画祭 ある視点部門 審査員特別賞 受賞。
監督のデビュー作「すべてが許される」でプロデューサーを務める予定だったアンベール・バルサンの自殺がこの映画のもとになっている。
父親のグレゴワールと長女のクレマンスを演ずる二人は実の親子。
グレゴワールはベンヤミンの本を読んでいたことが劇中で語られる。おそらく、ベンヤミンが「歴史の概念について」で、パウル・クレーの「新しい天使」を評した一節を引用している。

前半はテンポ良くというか矢継ぎ早というか、やや駆け足な展開。理解が追いつかない部分もあった。プライベートではそこまでお金に不自由しているように見えないので、何がグレゴワールを自殺するまでに至らせたのか、少し説得力に欠ける。
後半からは一転して主に母と長女にフォーカス。次女ヴァランティーヌを励ますセルジュは、過不足なく言葉を選んでいて、あたたかい。どこか暗くなりがちな後半では、ムードメイカーのヴァランティーヌの存在がうまくバランスを取ってる。クレマンスが兄のもとを訪ねに行くくだりは無くてもよかったかな。なんと言っても最後の「ケセラセラ」。幕引きをぐっと引き締めてる。

別荘に向かう車中、妻のシルヴィアは、娘たちをジャン・コクトーのお墓に連れていったと話す。サン・ブレーズ・デ・サンプル礼拝堂の中にある彼のお墓の近くには、「Je reste avec vous(私はあなたと共にいる)」と記されているそう。
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