イロカワ

カミュなんて知らないのイロカワのレビュー・感想・評価

カミュなんて知らない(2005年製作の映画)
4.4
 高校生の殺人事件を映画にしようとする大学生たちの映画。
 冒頭、長回しのオープニングから映画が始まるのだが、その中で映画の長回しについてのセリフが登場して流石に笑った。映画のワンカット長回しの中で、長回しのことを登場人物が語るのは初めて見たかもしれない。
 この映画学科変な人ばかりで見ていて面白い。映画を作るための準備の大変さやスケジュールを守らないスタッフとかいて中々リアルだと思った。その一人一人が人間的に欠落を抱えていて愛らしいんだけど、絶望的な気分になる。
 
 でも映画全体にはアジア的な柳町光男監督風味は感じられず、2000年代特有のこれと言って特徴のない日常的な感じ。
 しかし、ラスト!映画と現実が交錯していく場面があるのだが、めちゃくちゃ素晴らしい。見ごたえがありすぎる。俺の知っている柳町光男映画が突然始まって、しかもその表現の向こう側が垣間見えるような不思議な演出。ある意味、柳町監督の集大成的な場面ではないでしょうか。あの老夫婦の場面を見るだけでも一見の価値あり!
 
 全体としてはニコラス・レイ監督の映画の授業みたいな感じだったが、もうアジアを描くことに疲れてしまったのかもしれない。俺は待ってますけどね!
イロカワ

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