みんと

スパルタカスのみんとのレビュー・感想・評価

スパルタカス(1960年製作の映画)
4.1
キューブリック作品の中でも評価が低く、ジャンル的にも尺の長さ的にも手が伸びなかったけど…
面白かった!かなり好き!
恥ずかしながらスパルタカスの英雄ぶりを知らなかったので勉強にもなった。

監督初の長編カラー作品はローマ帝国を舞台にした一大叙事詩。自由を手に入れるため、奴隷スパルタカスは剣闘士や奴隷で組織した軍を扇動し、ローマ貴族クラサスに大規模な反乱を起こす……。

序盤は『グラディエーター』、後半は『ブレイブハート』とオーバーラップする男たちの戦いから目が離せなかった。
そして、もはや女は出る幕無いかと思いきや、ある意味1人の女性をめぐる戦いでもありドラマの部分でも見応えがあった。

『突撃』同様キリッとしたルックスが凛々しいカーク・ダグラス。ラブシーンさえも観る側が恥ずかしくならない堂々とさ。


人はみんな死ぬが
奴隷と自由の身では失うものが違う
自由の身は生きる喜びを失う
奴隷は苦痛が消える
奴隷は死で自由を得る
だから死を恐れない
よって我々は勝つ

力強い言葉に震えが止まらない。

そう、まさに命ある限り自分に正直であらねばならないのだ。

随所で男気に圧倒され感動する。
説得力のある台詞の散りばめが素晴らしい。監督の知性も感じる。何より素直にストンと心に落ちる。

過酷な状況の中で幾度となく差し込まれる長閑で平和なシーンと激しい戦闘シーンとの対比が見事。緩急がより感情を揺さぶる。

守るべく自由は決して特別な何かではなく、ありふれた日常なのだと…。

まるで、日体大「集団行動」のような隊列の動き。エキストラの数もお金のかけ方も尋常じゃない。
画面を埋め尽くす人海戦術を繰り広げたローマ兵と謀反奴隷の合戦のスケール、そして躍動感は映画史上の奇跡といってもいい伝説の場面だと言う。
ところであの大迫力で転がる炎のシーンはどうやって撮ってるんだろう…


たったひとりの反抗がローマをゆるがした。
そして何万もが立ち上がった。
まさに奇跡のような出来事だった。

ラストに震える。涙がスーッと流れる。
まさか、こんなに素晴らしい余韻が待ってたなんて!
思い切って観て良かった。


ひとまずキューブリックのハリウッドデビュー(『現金に体を張れ』)以降の作品はコンプリートという事で、
個人的キューブリックBest 5
(ここまではかなり好き)

1. 『2001年宇宙の旅』
2. 『シャイニング』
3. 『バリー・リンドン』
4. 『スパルタカス』
4. 『現金に体を張れ』
4. 『突撃』
5. 『博士の異常な愛情~』


※キューブリック初鑑賞で感性を打ち砕かれ、あえなく撃沈した『時計じかけのオレンジ』。再見でどこまで印象が変わるか楽しみ ♪

取り敢えずキューブリックファンの方々のランキングが気になる!
みんと

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