1930年代、世界大恐慌時代。
ニューヨークのウォール街での出来事など知る由もない大陸の反対側西の果てカリフォルニアの農場が舞台。
金融業界で何が起きてるのかわからないけど大恐慌の影響だけは受けるもの。
西部開拓時代そのままのような、馬やロバを使った大規模農業。
誰も彼も貧乏で汗と埃にまみれて明るい未来など見ることもできないまま暮らしている。
主人公は、小柄で賢いジョージと体が大きく知的障害のあるレーニン。
事情があって農場を渡り歩く2人だが、寄る辺ないのはこの2人だけではない。
農場で長く働いているが歳をとりケガもして力仕事ができない老人。
労働者の中で唯一の黒人で労働者たちからも仲間外れにされオーナーからひどい虐めを受ける黒人労働者。
ボクサーの夢破れ生きる目標を失い当たり散らすオーナーの息子。
家に閉じ込められ(たぶん家にヘルプがいるから)家事をする必要もなくただ毎日話し相手を探しているオーナーの息子の嫁。
登場人物たちは皆、東の果てのウォール街で起きた大恐慌のように、自分ではどうしようもない事柄に苦しめられて生きている。
そんな中でジョージにとっての心の安らぎは、過去の記憶がほとんどなく頭の中に『未来の夢』が詰まっているレーニンの存在。
レーニンがいなければ生活は楽だが、人生の楽しさや豊かさを失ってしまう。
そんなとき、ある事件が起きて。。
*****
20年ぶりくらいに観た。
当時はただただこの不条理が衝撃だったけど、そこに隠れている隠喩に気づくと痛烈な社会批判が見えてくる。
90年前くらいの話だけど今もさほど状況は変わらないでしょう。
金融業界での出来事のツケを食わされるのは下層労働者であり、いまだ人種差別もあり、女性の社会進出もまだまだ。
弱い立場の人間を切り捨てることで成り立っている社会。
90年も前の話が昔話にならないなんて。。。