フクイヒロシ

ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男のフクイヒロシのレビュー・感想・評価

4.0
「君は貴重な人だ」
「何を言う。貴重でない人などいない」

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1963年の人種差別撤廃を求めるデモ〝ワシントン大行進〟の主催者であるバイヤード・ラスティンが主役の映画。

ラスティンは若い頃からずっとアメリカの公民権運動に尽力していたし
彼のゲイであることを周囲も知っていたけど
セクシュアリティを理由に白人側から叩かれることを恐れて、彼が表舞台に立つことはなく、いつも陰で支える役目を担っていた、と。

〝1980 年代には、同性愛者の大義を代表して公の擁護者となり、活動家および人権擁護者としてイベントで講演しました。〟
とのこと。

同性愛者であることを公表したハーヴェイ・ミルクがカリフォルニア州サンフランシスコ市の市会議員に当選したのが1978年なので、
もしかしたらミルクの影響を受けて、ラスティンはカムアウトしたのかもしれない(なんの裏付けもにいけど)。

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この映画の印象としては
「ラスティンという光を浴びるべきスターがおりました」とさ、
というものではなく

ワシントン大行進を歩いた20万人のうちの一人一人が、
もしくは長く続く公民権運動になんらかの形で参加した全員が
映画の主役になれるのだ!的な気概を感じました。

もちろんキング牧師はヒーロー。
ローザ・パークスもリトルロックの9人もヒーロー。

そして彼らに影響を受けて何か少しでも、未来のために動いたなら全員ヒーロー。

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名作『マ・レイニーのブラックボトム 』のジョージ・C・ウルフ監督なんですね。

今作はだいぶライトな印象。
重くなりがちな題材をコメディまぶしながらテンポよくエンタメ感動作に仕上げるのは、ハリウッドが獲得した得意技。

まぁさすがに観やすいですよ。
勉強にもなるし感動もする。

主演のコールマン・ドミンゴの演技が素晴らしい。
ラスティン本人知らないけどめちゃくちゃ本人っぽかったし、
コールマン自身がこういう人なのかと思ったけど、
他の写真とか観るとめちゃくちゃ王道の黒人スターだった。。
脚の長さがどうかしている。。

つまりやはり素晴らしい演技だったんよね。。

他にもキングを演じたアムル・アミーン、
隠れゲイを演じた ジョニー・レイミーなどの輝かしい演技も楽しめました。