モミジ

マイ・マザーのモミジのレビュー・感想・評価

マイ・マザー(2009年製作の映画)
4.3
「愛してる」
「母さんが忘れないように 口に出してるんだ」

「愛してる」をムリヤリ言葉にして、自分を納得させて、言わないと崩れてしまう歪な関係性
愛しているのになぜ自分の秘密を告白しない?愛しているのになぜ自分の進路を強制する?
理解と尊重のない愛が、呪いになってお互いを縛りつける。というお話

子供の頃は仲良かったけど今は…って、親が未成熟な人間で、自分の精神が成長するにつれてそれが目に余るようになるってケースが顕著だと勝手に思ってるんですけど、これもそんな感じですね
それを解消するにはどちらかが無垢な子供にならなきゃいけない=自我を殺さないといけないので、まぁ無理でしょうね
だから原題が「I Killed My Mother」で、自分ではなく母を殺したってことなんでしょうし(希望的な終わり方になっていたけど、あの後は再三描写されたように喧嘩別れすると考えるのが自然→母の存在を自分の中から殺すのは劇中後だと思います)

親が似たタイプだったからかなり感情移入できたけど、母親の考えもわかるように作られてるから凄い映画だと思います。というかお母さん役の表情がメチャクチャ上手い
ドラン監督が19歳の時に撮っただけあって、思春期男子の感情表現は凄くリアルだったけど、母親側の感情もヒシヒシと伝わってきて、「なんで19歳でそれが撮れるんだ?」と流石の神童っぷり

愛しているのに一緒にいると仲違いしてしまうから、それなら離れ離れになってしまう方がいいという、ドランの親子観なのかはわからないですけど、ここはMommyと一致していますよね
この関係性がドランの価値観によるものなら、Mommyがより理解しやすくなるので、先にこっちを観た方がよかったかもしれないです。

あと、ドランって自分をイケメンと自覚していて、ちゃんとイケメン役として自分を使ってる所が良いですね
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