大阪の下町を舞台に繰り広げられる、ヒューマンコメディ。
ある日父親が死亡。
間をおかずに弟と名乗る男が一家に乗り込んできて住み込んでしまう。
母親は、昼間看護師夜はスナックでバイト。
そんな母親が妊娠。
子供は男の子が3人。
長男は老け顔でいつも中学生には視られず、大学生に間違われている。
そして恋してはならない女性に恋して悩む。
次男はヤンキー。
自分の顔が全く父親に似ていないことから、自分は誰の子?とハムレットを読みながら悩む。
三男の将来の夢は、女の子になること。
周りと違う自分に気づきこれまた悩む。
それぞれがそんな立場の中、「妊娠」したものだから、誰の子?と家族は思う。
それぞれの悩みは解決しないが、それでも生きていこうという前向きな作品です。
三男が学芸会でシンデレラの役をすることになり、本番で「気持ち悪い」とやじられても、最後までやり抜くシーンはグッときた。
次男が、「生きるべきか死ぬべきか」を真剣に考え、死ぬよりは生きていくほうがいいやんと結論をつけるあたりも心地いい。
長男の恋のエピソード、胸が苦しくなるような感覚よくわかる。
原作はコミックということですが、そちらは未見。
大阪にこだわりすぎて、描写がステレオタイプになってしまったのは、ちと残念ですが、ここまですがすがしく仕上がれば上出来でしょう。
時々観なおしたくなる佳作です。