このレビューはネタバレを含みます
いま観ても色褪せない。
全体的に演劇に近い上品な雰囲気がある作品。
「裏窓」という題名らしく、とある窓から見える光景から映画ははじまる。
長回しでぐるりと周囲をアパートに囲まれた街の一角を映し、
最後に〝足止め〟をくらって休んでいる主人公（L・B・ジェフリーズ）の部屋が映り、壁にかかった一連の写真で〝足止め〟の理由までもがわかる。
明快で美しく、かつ心を掴まれる流れるようなオープニングだ。
明快であり明確。
撮り方でなんとなく〝この裏窓から見える街の一角だけで事件が起こって映画は進んでいき、そのまま終わるんじゃないか〟という気がしたからだ。
（本当にそうだったので驚いた）
そのほかにも暗闇を使った顔のショット、窓と窓のあいだの死角をいかした撮り方、名作と呼ばれる映画で使われていたテクニックが随所に散りばめられている。
矩形の窓枠を中心に、こちら側に向かって演技をしている人々を観ていると、自分が主人公といっしょにテレビか漫画を観ているような気分になり、当時がいまよりずっと演劇と映画が近かったことがよくわかる。
その感覚はとても不思議で、また奥深い映画の世界が好きになった。
