デジタル修復版を映画館で見る事ができた。20年くらい前?VHSで見たものとは格段に違う美しさ。
そして物語も、こんなに美しかったかな…と思うほどに自分の目には新しく映った。内容は覚えているんだけど、こんなんだったかな??とずっと思いながら見ていた。映画館で、きれいな映像でとなるとまた見え方が全然違うのだろうね。
この映画は「耽美なゲイ映画」って扱いをされる事も多いけど、歴史背景のや、人物の心理描写などを美しく描いていて、決して美しいだけではないのだよなと再確認した。
純粋なモーリス。真っすぐなスカダー。常に自分を律するクライヴ。
自分の思い通りになったようで一番思い通りになっていないクライヴの人生が辛い。そしてそれを察する妻。自分としては人の一歩前を歩いているように構えていて、「そういうものだ」と世の中を一番分かっているように振る舞うけれど、素直な心の部分はモーリスにすいっと追い抜かれていく。「モーリス」の物語より、クライヴが自分自身の中で押さえつけて来たものなどを考えてしまう。ある意味、一番人間らしい気がする。
「君の名前で〜」や「ブロークバック・マウンテン」など、同性愛の映画の原点になっているのだろうなとしみじみ思う。