ぱきら

ドラキュラのぱきらのレビュー・感想・評価

ドラキュラ(1992年製作の映画)
2.8
観ていないつもりで多分何度も観ていた作品でした。
オンデマンド配信のどれかで昨年かそのくらいに観て、あれっ明らかにこれは先の映像を思い出せるということは観ていたのか、と驚いたものです。
おそらくテレビ視聴だったのでしょうが、作品としては正直内容の印象は薄い部分が否めなかったのかもしれません。

今回はBS松竹東急の放映で。この短期間ですので、さすがに観たことがあるのは覚えておりました。BS松竹東急の枠は民放ながら、エンディングのスタッフロールを削らないで放映してくれることは余韻ぶつ切りにならずありがたいものとして、高く評価したいです。松竹系であるゆえんなのこだわりでしょうか。

映画のこの時のウィノナ・ライダーは可憐で美しいですが、役は正直可愛くない。
いらっとするヒロインの典型、というかこの原作のようなあたりからロールモデル?のようなものが出来上がっていっているでしょうから、これを典型と表現するのは適切でなくそれよりは始祖みたいなものなのでしょうか。
能動的と言えば良いのですが、それでもこの行動は…というかどうにもと感じてしまう流れで。

もう少し魅力的な女性登場人物が観られる作品に触れたいと常日頃感じているのですが、結局いまだにあまり女性というだけの配置と言うか役割が映画に限らずどのフィクションにも多く、人間的な魅力が掘り下げられない役を割り当てられることが多いな、などとも思ってしまいました。

とはいえ役の魅力はともかく、この時のウィノナ・ライダーの奮闘は目を見張るほどです。正直これをさせられるのは、と他の作品と比べればまだ美しさもあるとはいえ気の毒になるシーンも多いのですが、それを体当たりで演じています。
役者としてそうするほかないというのもあるでしょうから、ハリウッドも日本もこの映画撮影当時も現在も撮影現場の状況はどうなんだろうななどと考えてしまいますし、観るほうも問題にしたり気にしたりはしたほうが良いのかななどとも。

キアヌ・リーヴスは何というか存在しているだけというか。
この作品のときのキアヌ・リーヴスの見た目は麗しく、個人的にも彼のルックスは一貫してかっこいいと思いますし、存在としてはもはや、伝え聞く普段の行動から自然に醸し出される人間性みたいなものも含めて総合的に評価するスターかもしれませんが、彼の演技に関しては正直いつもそこに居て発声しているだけに見えてしまいます。
それでもキアヌ・リーヴスは、(当然外国の俳優さんの何を知っているわけでもなく伝え聞く行動での印象に過ぎませんが)人間性の芯の部分は変わらずに元気でいてほしい、無理のない範囲で映画などに出演して姿を見せていてほしいとは、ファンでなくとも願ってしまう稀有な存在と思いますが。

さてフランシス・コッポラの監督としての手腕に関しては、おそらく自分はコッポラ作品と肌が合わないのです。語弊があるかもしれませんが、陳腐に見えてしまうのです。
監督の代表作ゴッドファーザーシリーズに関しても思うところはあるのですが、ファンの多い作品ゆえに言語化することに恐れをなしてしまいます。
でもとりあえず、どうしても作品内の描写が冗談のように見えてしまったり薄く見えてしまうのでコッポラ作品とはきっと肌が合わないのです。軽妙な内容であれば、可愛らしく適切に見えるものもコッポラ作品のなかにもある気もするのですが、こういったドラキュラのような作品において」は、おそらく適切に求められるであろう重厚な雰囲気描写が大変不得意なのかと見えてしまうのです。

点数は、この作品でアカデミー受賞している石岡瑛子さんの衣装の、華麗さ素晴らしさに対してつけさせてもらいます。
日本がもっともっともっと誇るべき偉業と思います。
石岡瑛子さんもワダエミさんも今はいらっしゃいませんが、あの方たちのお仕事は今見ても美しいしスタイリッシュで圧倒的です。そして世界でそのお仕事が形になって受賞もされています。もっともっともっと語り継がれていってほしいです。
ぱきら

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