つるみん

いつものようにのつるみんのレビュー・感想・評価

いつものように(1997年製作の映画)
4.0
【サンシャイン60、好きっすか?】

90年代の東京が舞台。バイク便ライダーのタカセは、イラストレーターのナナエの原画を出版社に届ける仕事を引き受け、仕事後に友人のコウノを交えて3人で飲みに行き始めたのだが…。

これこれ!こういうの!!
この頃の邦画にしか出来ない味わい。何気ない会話の連続から生まれるノスタルジックさと羞恥。別に何かドラマチックな事が起きるわけでも無いけれど、どこか胸の中にそっと閉まっておきたい一作。

いつも同じような日々を送り、友人と酒を飲みながらバカ話をして盛り上がる男2人。でもナナエという少し魅力的な女性が加わることによって、〝いつも〟のようにはいかなくなってしまうのだ。普段とは違う盛り上がりをみせ、少し格好付けたり、優しくしたり…。その透かした必死さが観ている我々にとっては恥ずかしい。

色々あった物凄い1日だったけど、次の日になると彼らの〝いつも〟のような生活が戻っていて、激動だったあの1日も過去の出来事になり「あ〜そんな事もあったね」なんて笑い話になるんだから、人生って面白い。

けんもち聡監督の自主制作映画らしいが、会話と会話の〝間〟も素晴らしいし、聞き直す会話シーンなんてリアル過ぎて笑ってしまう。そして何より共感性羞恥を抱かせるこのストーリーが好みすぎる。

良い映画に出会ったな〜と。
他作品も観てみたいと思った。
つるみん

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