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キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンのEditingTellUsのレビュー・感想・評価

3.9
January 21st

Steven Speilberg監督作品。縦横無尽に動くカメラワークは彼のこだわり。

Jeff Nathansonの脚本がまず最初に美しい。Speilberg監督の作品としては珍しい、時間軸を行ったり来たりする構成。"Catch Me If You Can"という題名にもバッチリ適合していながら、テーマは家族といったような、裏切りと期待がしっかり視聴者のニーズにマッチしているところが魅力。

John Williamsの天才的なキャッチーなラインとオープニングクレジットからはじまる。キャラクター設定も非常に明確で、テレビシリーズのパイロット版のように、最初の15分でストーリーがガラッと変わる。そこからのストーリーのテンポ感も良く、詐欺をはたらく場面が10個ぐらい出てくるのだが、どれもがLeonardo Dicaprioのスムーズな演技とJohn Williamsの劇的な音楽で形取られて、印象的なシーンを刻んでいく。逃走と追跡といった形で話が進んでいくところに、FBIのアイロニー的な部分とか、当時の金融のゆるさ的なものも何度も登場。カメラワークを媒介にし、フレームの主役として拳銃目線で追跡していくところなんかは、Speilberg監督のらしさが出ていた。序盤にしっかりと打った布石も、中盤から後半にかけて、しつこいといったほどに視聴者にリマインドを与えていき、時間軸が一つになった頃には、FrankとCarlの思いも繋がっていく。家族につかれた嘘が、自分と世界に嘘をつき続けることにつながり、真実に恐怖をおぼえるまでになる。このプロットを外さないところが好き。

カメラワークがやはり印象的で、かなりスピーディーに動いているにも関わらず、フレームアウトすることなど全くなく、視聴者の目がしっかりと追いつくスピードを維持している。ぐるぐる動くとなると、カメラと役者の距離感が大事になってくるのだが、それもDOF深くしたり、時にはしっかりと計算してフォーカス合わせたり、プロフェッショナルな技術が詰まっているなー。

編集の面からも、アクションとカットタイミングが意味を持っていて、シーンの中での自然なカットと、シーン間でのインパクトのあるカットが自在に使い分けられていた。

好きなシーンは、はじめてFrankとCarlが対面するシーン。入れ替わる目線がスリリングかつ軽快なリズム感を生み出していて、最高!
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