このレビューはネタバレを含みます
・徹底的に計画されたショットの数々。
・アイディアが満載であるにも関わらずシンプルであるからその意図を読み取りやすい。
・被写体の大きさを等しくすることで人物の対等さや親密さを表現していると言われるが、動作でも表現されていることに気づいた。高峰と笠が鶯を眺めるシーンに表れている。
・この手法はヴィム・ヴェンダースも踏襲しているように思われる。『パリ・テキサス』でのトラヴィスとハンターの下校シーンだ。
・この徹底的な等積=同等を用いていることで小津は180°ルールを破っている。
・いくつかのシーンでは後期に見られる正面ショットではなく斜めからのショットである。線対称な等積ではなく飽く迄もフレームを重ね合わせた時分に観測される対称性である。
・脚本に関しては戦後移り変わりゆく日本を背景としている。度々目も当てられない家父長制による文言が飛び交う。しかしこれは田中絹代を通した小津自身のもつ反抗的な眼差しとも捉えられる。