こまだこま

ファンタジアのこまだこまのレビュー・感想・評価

ファンタジア(1940年製作の映画)
3.9
全8章で構成されるアニメーション作品。美しい音楽と映像を堪能できる贅沢な映画である。以下1つずつ、簡単な感想を。

1. トッカータとフーガ ニ短調
冒頭の楽団員たちをシルエットで浮かび上がらせる演出がカッコいい。一気に引き込まれる音と色のダンス。動く抽象絵画を鑑賞しているようなひと時だった。
2. 組曲「くるみ割り人形」
これ特に好きだったな。ずっと観ていたいロマンティックな世界観。
3. 魔法使いの弟子
悪戯ミッキーが愛らしいドタバタ劇。
4. 春の祭典
生命の起源を丁寧に描いていて印象的だった。
5. 田園交響曲
リア充すぎてまぶしい。ユニコーンと天使とケンタウレたちは可愛い。
6. 時の踊り
バレエのポジションとステップの忠実な表現がストイックで好き。ドタバタな演出にもディズニーらしさを感じた。
7. 禿山の一夜
空飛ぶ骸骨の世界観は好き。けどこれは幼少期観たらトラウマになるかもしれない不気味さ。曲とマッチしていて荘厳な雰囲気。
8. アヴェ・マリア
もうね、素敵。最後の方で、徐々に視界が開けていくアニメーション演出で、鹿児島県霧島アートの森で観た、イスラエルの彫刻家ダニ・カラヴァンによる「ペレシート(初めに)」(2000年)という作品を思い出した。

特に2.7.8.の章の世界観は、カイ・ニールセンの幻想絵画の世界を想起させるような繊細な色合いの作画で美しかった。
この映画を1940年にこの世に生み出したウォルト・ディズニーはやっぱり偉大である。台詞がなくても、音楽とアニメーションによる表現で、国も時代も問わず人々に感動をもたらすことができる。見方によってはシンプルで古典的すぎるかもしれないけれど、本当に素敵なことだと思う。
あと、幕間で紹介されるサウンドトラックくんがシャイで可愛い。
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