モモモ

パーフェクトブルーのモモモのレビュー・感想・評価

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)
4.4
昨今はリバイバル、リマスター上映が結構な頻度であるので「あの映画を遂に大画面で!」な興奮が薄れてきているのですが…いや、嘘です、めちゃくちゃ興奮しました。今までのどの鑑賞よりも面白いPERFECT BLUEでした。
とにかく完璧で隙の無い構成に毎度毎度痺れてしまう。
序盤〜中盤までの場面展開を小道具や台詞で「シームレス」に繋ぐ手法は心地よさを生むと同時に物語を語る上で不必要な物をトコトン削ぎ落としていく。更に「現実」と「妄想」が曖昧になっていく終盤戦でその「シームレス」な作りが現実と夢との「侵食」に活かされていくのだから、まるで教科書の様だ。
他者から向けられる「こうあって欲しい」と言う願望。
自己から漏れ出る「こうありたい」と言う願望。2つが混ざり、境界を失い、主人公と映画を蝕蝕んでいく。
「アイドル=偶像」をこれ以上体現した作品は、
主人公の心情を観客に同一視させる事に成功したアニメ作品は存在しないのでは、とさえ思える。
「これは現実」「これは劇中劇」「これは夢」「これも劇中劇」とひっくり返し続ける怒涛の展開の末に、結末を有耶無耶にせず、物事全てに理屈をつける見事な着地点。
普遍的な「搾取」と言うテーマ性と、色褪せない演出力とセルアニメの魅力。永遠の名先だ。
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