フォルスタッフ

パーフェクトブルーのフォルスタッフのレビュー・感想・評価

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)
4.3
今敏の真骨頂であり、後の時代に影響を強く残した作品。
この作品の主人公にソックリな”普通の女の子”天海春香をメインに据えたアイドルマスターシリーズが現在、シンデレラガールズ、シャイニーカラーズと派生作品を広げていったことを考えると、この作品こそがアイドルマスターの原点だ……と言うこともできる。実際、シャイニーカラーズの”現実性を高める”表現技法からは『PERFECT BLUE』の片鱗を匂わせるものがある。
しかし私はこの作品の背景にある「アイドルの相互性」みたいな部分に強い意図を感じるもので、この作品ではアイドル・霧越未麻が主観者として語り続けるわけだが、最後にはミラーに向かって
「私は本物だよ」
と語りかける。実際には、この作品をみている我々や、アイドルを愛好する人々に対する目配せ、彼女を映像越しにみている我々を映し出そうとしているのではないか? と考えると、尚更この作品の凄味を感じてしまう。現代におけるアイドルコンテンツの全てであり、『PERFECT BLUE』以前/以後という語りが可能であろう。