オヂサン

パーフェクトブルーのオヂサンのレビュー・感想・評価

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)
4.4
初めは普通に見えた人たちが段々と気持ち悪く見えて来る作画に驚愕した。一体どこからそんな恐ろしい顔になったのぁろうか。

過去なのか夢なのか現在なのか妄想なのか分からない境目のない展開。悪夢に出てきそうな不気味な男と、みまちゃんが捕らわれている終わりのない日常の混乱。どこまでが本当でどこまでが偽物なのか。段々と狂っていく登場人物たちに釘付けになる。

最後まで不安を駆り立てるような、煽ってくるような。登場人物が少なくて兎に角狭い世界での物語で閉鎖的なはずなのに、終わりがないような不思議な奥行きと気持ち悪さはこの監督にしか出せない。

誰なのかを一人に絞らず、匂わせつつ同時進行で色んな人物を動かしながらも観る側が混乱しないよう徐々に今敏の観せたい結末に持っていく巧みな案内にため息が出てしまう。普通だったらしっちゃかめっちゃかになるはずなのに、まとまっている。今敏監督は期待を裏切らない。


追記:
先日池袋マルイで行われていた今敏監督のメモリアルイベントを観てきました。この映画の絵コンテや設定画などが展示されていたんですね。そこで驚いたのが今敏監督のメモ書きというか、キャラの設定画。とても鉛筆で描いたとは思えない綺麗なまっさらな完成された絵たち。線に一切迷いがなく、迷い線が一本もないような、シュッシュッと描いていて。もう彼の中でイメージが完全に固まった状態で紙に命を吹き込んでるくらいのクオリティ。

実はこの映画だけ観ていなかった事に気付きまして、生憎用があってイベントの土曜の上映会には行けず。なんとか観たいと思い中古屋を巡ってもあるはずがなく、フリマアプリを見てみてもプレミアがつきまくった物かLDのみ。TSUTAYAに毎日通っても何ヶ月もレンタルしてる方が一人いるようで観れずじまい…。

もう半月ほどそんな事が続きまして、もう我慢ならんと奮闘し、やっと観れました。
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