かわちゃん

トムボーイのかわちゃんのレビュー・感想・評価

トムボーイ(2011年製作の映画)
4.3
揺れ動く子どもたちの心情の変化を
丁寧に掬い取ってみせてくれるセリーヌ・シアマ監督作。
やっぱり好きでした。

男の子になってみたいと思う女の子、
私もこのくらいの年齢の時に身のまわりにいたし、
自分にもその考えが浮かんだことはありました。
なので誰にでもあり得る、
すぐ身近にあるお話なのではないでしょうか。

ロールが将来的にどちらの性を選ぶのか、またはどちらも選ばないのかは関係なく、
そのふらふらなあたりにピントを絞ったからこそ浮かび上がってきた美しさがありました。

自分のアイデンティティに向き合うお年頃、
その貴重な刹那をさささ~っと軽々切り取ってくれたような映画で、
特に自然な子どもたちの表情には魅せられました。

妹のジャンヌはまだ幼いのに「私にはお兄ちゃんがいるわ」と
なんとも自然に嘘をつけるあたりが微笑ましい。
これも兄姉(姉妹)の愛あってのことなのかしら。

赤ちゃんが生まれ、家族に囲まれている風景には
この子はこれからどういう夏を過ごしていくのかと
わくわくしちゃいます。

ラスト、リザとロールの微笑みを忘れません。

そして、これを10年も前にやっていたのかと、
またもやられました。
かわちゃん

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