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金星のmaiのレビュー・感想・評価

金星(2011年製作の映画)
3.5
キャストに岸井ゆきのさんがいたので、速攻Amazonでレンタルしました。

1時間ほどの短い映画ながら、「障害者」をテーマに様々な立場の人が各々の感情を抱えているのが凄く伝わってきます。
視覚障害者であるシュンは、自分たちはできないことが多いんだから手伝うのが当たり前・障害者であるからと下に見られるのは本当に嫌だ。
同じく視覚障害者であるホノカは、顔のあざも相まって内気なタイプで、シュンが顔を見れないことに安心感を抱いている。
シュンを補助するさっちゃんは、障害者への優しさだけで行動してしまう。彼の自立云々よりも、出来ないから仕方ないの優しさが強め。
大学生たちは、もちろん手伝うけれど、やっぱりそこには感謝が必要だと思っている。
さっちゃんに同行してる男性(名前忘れてしまった…)は、かなりニュートラルな人柄で「年頃なんだから密室にしたらダメだよ」など障害者ではなく人として見てくれる。

まずは登場人物がすごく少ないのに、これだけ色んな立場の人を作り出せるのが素晴らしいです。それぞれに良いところとダメなところがあって、それを山のハイキングで突きつけられるんですよね。
障害者だから手伝ってもらうのは当たり前なのか?
障害という、自分の物理的に弱い部分とどう向き合うのか?
一瞬でも障害のない自分に優位さを感じた行動をとってしまってないか?
不満もこぼさず優しさだけで対応するのが正しいのか?
障害と向き合いつつ、でも一個人として接する…その共存って意外と難しいんだなと感じました。

映画…というよりは、学校の教材向けの内容にストーリーを加えた感じかなと思います。
ラストの金星を見つけるシーンも良かったし、何より役者の方々がかなり良い演技です。少しふてぶてしさのあるシュン役の大倉さんはノーマークだったので特に。

見て損はない映画です。
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